海の上を走り、島々を渡り、渦潮を見下ろす。本州から四国へ向かう3つの道は、風光明媚な瀬戸内海や周辺の施設を楽しめる絶好の観光ルートです。
現在、本州から四国へ車で渡れる道路は3ルートあります。岡山と香川を結ぶ瀬戸中央自動車道、広島と愛媛を結ぶ西瀬戸自動車道(瀬戸内しまなみ海道)、兵庫と徳島を淡路島経由で結ぶ神戸淡路鳴門自動車道です。
今回はそれぞれに個性的なこの3つのルートを通って、本州と四国を行き来するための基礎知識をまとめました。
3ルートでは最短・最安、列車も渡れる「瀬戸大橋」
「瀬戸大橋」は1988年(昭和63年)に開通し、本州と四国を初めて道路と鉄道で直接結んだ橋です。「瀬戸大橋」は、岡山側から「下津井瀬戸大橋」「櫃石島橋」「岩黒島橋」「与島橋」「北備讃瀬戸大橋」「南備讃瀬戸大橋」と続く、6つの橋の総称です。3つの吊橋、2つの斜張橋、1つのトラス橋で構成されています。穏やかな瀬戸内海の青と島の緑に白く浮かぶ吊橋の優雅な姿が印象的です。

岡山側の最後のICは「児島IC」で、ここを過ぎると瀬戸大橋に突入します。途中にある与島PAは瀬戸大橋観光の中継地点として、フードコートや土産物店、フォトスポットが設けられており、真下から壮大な橋を見ることができます。与島PAは上下線一体のPAなので、与島で折り返すことも可能です。

四国側の坂出北ICは、2026年3月20日、本州方面および四国方向へ出入りが可能なフルインターチェンジになりました。それまでは本州方面にしか出入りできず、坂出市北部から高松・松山・高知・徳島方面へ向かう場合は、坂出ICなどを利用する必要がありました。
「坂出北IC」から四国方面へ出入りできるようになったことで、瀬戸大橋記念館や四国水族館、瀬戸大橋タワーなどを観光した後の高速道路へのアクセスが短縮されました。「坂出IC」の先には「坂出JCT」があり、高松、徳島方面と愛媛、高知方面に分かれます。
瀬戸中央道は総延長約37.3km。3つの本州四国連絡道路のうち、道路の総延長が最も短いのが瀬戸中央自動車道です。岡山県側から香川県や四国中央部を目指す場合には、主要なルートとなります。

島を巡って渡るサイクリストの聖地「瀬戸内しまなみ海道」

「瀬戸内しまなみ海道」はその名前の通り、広島県と愛媛県の間に連なる大小の島々を橋と道路でつないだ道です。「西瀬戸尾道IC」から向島、因島、生口島、大三島、伯方島、大島を橋でつなぎ、来島海峡大橋を経て今治ICへ至ります。
このエリアは、かつて村上海賊が拠点として活動していたエリアでもあり、大島の「村上海賊ミュージアム」や因島の「因島水軍城」、海賊の見張り台があった向島の「国立公園高見山」など村上海賊にちなんだスポットを巡りながら、瀬戸内海を舞台に活躍した人々の歴史に触れるのも楽しみです。


本州側の起点となる尾道は、映画のロケ地としても使用された細い坂道の多いレトロな街並みや、全国的に有名な尾道ラーメン、近年では自転車の街として有名です。市内にはレンタサイクルの店が多くあり、ここで自転車を借りてしまなみ海道を楽しむこともできます。


また、JR尾道駅からほど近い尾道水道沿いには、複合施設「ONOMICHI U2」があります。自転車を客室内へ持ち込めるサイクルホテルをはじめ、瀬戸内の食材を使った料理を楽しめるレストランやカフェ、お土産にもなるアイテムをそろえたセレクトショップなどが入っています。


瀬戸内しまなみ海道のサイクリングロードは、尾道駅前から今治市のサイクリングターミナル「サンライズ糸山」まで続く、本州と四国を結ぶ海峡横断サイクリングルートです。全長は約70km。現在は、自転車通行料金を無料とする「しまなみサイクリングフリー」が実施されています。実施期間は2028年3月31日までの予定です。なお、新尾道大橋には自転車歩行者道がないため、尾道駅前から向島へは渡船を利用するのが一般的です。
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クロスバイクやシティサイクルのほか、電動アシスト自転車やキッズバイクなどもあり、無理のない範囲で利用することができます。なお、「サンライズ糸山」は指定管理終了に伴い、2026年3月21日をもって宿泊営業を終了しています。レンタサイクルターミナルは引き続き利用できます。
また来島海峡大橋を船から見る「来島海峡遊覧船」と橋の塔頂体験がセットになった「くるくるクライム」ツアーもあります。来島海峡を遊覧船で巡った後、海面上約180mの主塔頂上へ登る、所要約2時間30分のツアーです。


淡路島を間に挟んだ2つの橋「大鳴門橋」&「明石海峡大橋」

神戸淡路鳴門自動車道は、「神戸西IC」から「鳴門IC」を結ぶ高速道路です。そのうち、神戸と淡路島を結んでいる橋が「明石海峡大橋」、淡路島と徳島を結んでいるのが「大鳴門橋」です。このルートは淡路島を縦断しており、総延長は約89kmと3つの中では最長です。筆者が途中で休憩を挟みながら走行した際には、鳴門ICまで約2時間かかりました。
神戸は山陽自動車道、阪神高速、第二神明道路などの高速道路が複雑に入り組んでおり、いくつものJCTを経由して神戸淡路鳴門自動車道に入るのは意外と大変です。筆者は過去に神戸市内で高速道路を降りるつもりが、同乗者との会話に夢中になっているうちに最後のICを通り過ぎてしまい、トンネルを抜けるとすぐに始まる明石海峡大橋で淡路に渡ってしまったことがあります。お気をつけください。
明石海峡大橋は全長3,911m、中央支間長1,991mの世界最大級の吊橋です。夜になるとライトアップされ、舞子の海岸沿い施設から美しい夜景が楽しめます。また、例年期間限定で、海面上約300mの主塔頂上へ登る「明石海峡大橋塔頂体験ブリッジワールド」も開催されています。管理用通路を歩き、橋の構造や建設技術を学びながら塔頂を目指す、所要約2時間50分のツアーです。

神戸側から淡路島に渡ってすぐにある「淡路SA」は、明石海峡大橋を一望できる大観覧車がある絶景のビューポイントです。淡路島名物の玉ねぎを使ったグルメも揃っています。淡路島は兵庫県で、にしたびの守備範囲からは外れてしまうのですが、温泉や「ニジゲンノモリ」、「HELLO KITTY SMILE」などエンターテイメント施設、座禅ができるリトリート施設「禅坊 靖寧(ぜんぼう せいねい)」など多彩な観光施設が揃うエリアです。

大鳴門橋は、淡路島南部と徳島県鳴門市を結ぶ橋です。橋長は1,629mに及びます。この橋の特長はなんといっても「鳴門の渦潮」の上を通っていることです。
「鳴門の渦潮」は、瀬戸内海と紀伊水道の干満差と複雑な地形が生み出す巨大な渦です。春と秋の大潮の時期には、直径が30mに達することもあり、大迫力が楽しめます。大鳴門橋には橋げた内に全長450mの遊歩道「渦の道」があり、海面から約45mの高さに設けられたガラス床から、渦潮を見下ろすことができます。高所恐怖症の人にはおすすめできないスリル満点の体験です。


「鳴門IC」を降りて国道11号を南下すると、「道の駅くるくる なると」があります。屋上に芝生広場を備えた開放的な道の駅で、「大渦食堂」の海の幸が山盛りに乗った海鮮丼は人気メニューです。筆者が訪れた際には、店に近づくのも難しいほどの行列ができていました。時間に余裕をもって立ち寄ることをおすすめします。また、地元産の「なると金時」を使ったサツマイモスイーツや鳴門わかめなどもそろい、食事と買い物の両方を楽しめるスポットです。


車で渡るならETC割引のコスパが見逃せない
本四高速が管理する各道路の延長は、以下のとおりです。距離に応じて通行料金も異なります。
- 瀬戸中央自動車道:37.3km
- 西瀬戸自動車道(瀬戸内しまなみ海道):59.4km
- 神戸淡路鳴門自動車道:89.0km
車で渡る場合、ETCの有無で料金が大きく変わります。例えば瀬戸中央自動車道は、普通車が平日にETCなしで乗ると4,300円ですが、ETCがあれば2,310円、さらに休日割引も適用されると1,990円になります。
神戸淡路鳴門自動車道では、現金(非ETC)料金と休日割引適用時のETC料金との差が、片道3,040円にもなります。瀬戸内海を車で渡る場合は、ETC付きの車を利用することで、通行料金を大きく抑えられます。
普通車通行料金の比較
| 路線・区間 | ETC・平日 | ETC・ 休日割引適用日 | 現金(非ETC) | ETCの有無による差(平日) |
|---|---|---|---|---|
| 瀬戸中央道 早島~坂出 | 2,310円 | 1,990円 | 4,300円 | 1,990円安い |
| 西瀬戸道 西瀬戸尾道~今治 | 2,950円 | 2,310円 | 4,920円 | 1,970円安い |
| 神戸淡路鳴門道 神戸西~鳴門 | 3,340円 | 2,670円 | 5,710円 | 2,370円安い |
※休日割引は、土日祝日であっても、ゴールデンウイーク、お盆、年末年始や一部の3連休など、適用対象外となる日があります。
※2026年7月時点。いずれも本四高速が管理する区間のみの片道料金。
強風時には通行止めになることも。確認をお忘れなく
本州四国連絡橋では、強風や大雨の影響により、二輪車通行止めや、全車通行止めになることがあります。台風や低気圧が接近している時には、橋が通行できるのかどうかを、出発する前に確認しておくことをおすすめします。
フェリーで昭和の船旅を楽しんでみるのもいいかも?
片道に橋を使ったら、帰りはフェリーでゆっくりと海を横断してみるのはどうでしょうか? まだ本州四国連絡橋がなかった時代、四国との往復にはフェリーを使っていました。子ども時代にはフェリーで潮風を感じながら食べるうどんが好きでした。


過去にあった宇高国道フェリーのような本州と四国を直接結ぶ航路は減りましたが、現在も新岡山港から小豆島に渡り、小豆島の土庄港で高松行きのフェリーに乗り継ぐルートや、広島・呉と松山を結ぶクルーズフェリーなどが運航しています。車で乗り継ぐ場合は、車両を積載できるフェリー便の時刻をあらかじめ確認しておくといいでしょう。
ポケモンのヤドンでラッピングされた「うどん県PR団ヤドン」ラッピングフェリーのような、子どもが大喜びしそうな船もあります。フェリーで海風を感じながら、船と共に生きてきた瀬戸内の生活に想いを馳せてみるのも、忘れられない旅の思い出になるのではないでしょうか。
どのルートにも、そこでしか見られない海と島の風景があります。目的地までの最短経路として通り過ぎるだけでなく、PAや島、展望施設に立ち寄りながら、橋を渡る時間そのものを夏の旅として楽しんでみてはいかがでしょうか。









