瀬戸内海の多島美と島々を結ぶ瀬戸大橋が生み出す絶景は、岡山県に観光に来たなら絶対に見逃せないポイントです。瀬戸大橋は岡山県倉敷市児島と香川県坂出市を結ぶ本州四国連絡橋の1つです。一般に瀬戸大橋は、海峡部に架かる6つの長大橋を中心とした橋梁群の愛称として親しまれています。海峡部に架かる橋は、下津井と櫃石島を結ぶ下津井瀬戸大橋、櫃石島と与島の間に架かる櫃石島橋と岩黒島橋、与島に架かる与島橋、与島から坂出へと続く北備讃瀬戸大橋、南備讃瀬戸大橋と呼ばれています。
岡山県側から瀬戸大橋を見晴らせるスポットはいくつもありますが、その中でもジーンズの街児島を挟むように並ぶ「王子が岳」と「鷲羽山展望台」はそれぞれに個性のある瀬戸大橋の絶景スポットとして人気があります。
実はこの2つの絶景スポット、車で約30分しか離れていないので、両方を一度に巡ることもできるのです。今回は、にしたび編集部がこの2つの絶景スポットを訪ねてきました。
高所が苦手な人は要注意? 巨岩が並ぶ『王子が岳』

王子が岳は玉野市と倉敷市にまたがる標高約234mの山です。山の名前は、かつてここに百済の王女が生んだ8人の王子が住んでいたという伝説に由来しています。付近の地形は、約9500万年前ごろの塊状花崗岩が風化・侵食を受け、巨大な岩塊や奇岩が露出した「バッドランド(悪地)地形」が特徴です。

岡山駅から車で行くには、国道30号線を南下、県道427号線に入って「おもちゃ王国」の手前を右折し、すぐに王子が岳パークセンターへの看板があります。所要時間は約40分ほどです。倉敷駅からは県道21号線を使って約40分と、岡山からも倉敷からも1時間以内で到着できます。最寄り駅の児島駅からは「王子マリンロード」を使って約17分の距離です。
駐車場は第1から第3までの3つ(すべて無料)。絶景ポイントの「ニコニコ岩」には最も近い第1駐車場から行くのが便利です。


ニコニコ岩は、岩に入った3本の亀裂が、遠くからは人が微笑んでいる横顔のように見えることから名づけられた王子が岳のシンボルです。遠くから見ると周囲の森からひょっこり頭を覗かせている巨人の顔のようにも見えます。近づくと、高さ5m以上もある見上げるような巨石で、迫力を感じます。


岩の手前には、崖に向かって巨石がせり出し、岩の上からは瀬戸内海のパノラマを一望することができます。王子が岳からは、与島から坂出へと続く南北の備讃瀬戸大橋を遠くに臨むことができます。左手には渋川海水浴場の砂浜や「おにぎり島」の別名で親しまれている大槌島も間近に展望できます。大槌島は無人島で、島の北半分が岡山県、南半分が香川県という県境の島です。


岩からの風景は絶景ですが、下を見ると足がすくむような高さでヒヤリとします。特に、せり出した大岩に上がるには勇気が必要そうです(筆者は高いところが怖いので無理でした)。
ニコニコ岩までは駐車場から坂道や階段の山道をゆっくり歩いて約15分ほど。岩の付近にはトイレや自動販売機などはないので、夏の暑い時期に訪れるなら、動き慣れた服装と熱中症対策が必須です。

途中の道には、巨岩が積み重なった「灯台岩」を望む休憩所や、瀬戸内海を見渡せるベンチがあちこちにあるので、風景を楽しみつつゆっくりと散策するのも楽しそうです。

駐車場に戻る道筋には「王子が岳パークセンター」があります。中はトイレとカフェがある休憩所になっています。センターの隣には「王子が岳パラグライダーエリア」があり、体験フライトやスクールを開催しています。筆者が訪れた日にも、オレンジやイエローの鮮やかなパラグライダーが瀬戸内海の青と緑に映えながら滑空していました。



施設インフォメーション
| スポット名 | 王子が岳 |
| 住所 | 〒706-0028 岡山県玉野市渋川4丁目 |
| 駐車場 | あり(山頂に3カ所) |
| アクセス | 【車】 瀬戸中央自動車道・児島ICから約20〜25分、または岡山市街から約60分 【公共交通機関】 JR岡山駅から宇野駅まで約50分、宇野駅からバスで王子が岳国民宿舎前まで約40分、頂上まで徒歩約45分。別ルートとして、JR岡山駅から渋川方面行き特急バスで約70分、下車後タクシーまたは徒歩利用。 |
瀬戸大橋を間近に感じられる「鷲羽山展望台」

王子が岳から児島の市街地を挟んだ対面には、鷲羽山があります。今回訪れた「鷲羽山展望台」へは、王子が岳からは「王子マリンロード」で約30分ほど。岡山や倉敷からは高速道路「瀬戸中央自動車道」を「児島IC」で降りてから約10分の距離です。

自家用車やレンタカーなら、鷲羽山小型車駐車場(無料)で車を置いて、近くの階段を上るとすぐに「鷲羽山第2展望台」があります。ここからは下津井瀬戸大橋を間近に見ることができます。展望台の側には車いすや歩行が困難な方専用の駐車場もあるので、王子が岳よりも気軽に訪れることができます。


展望台の横にあるレストハウスは、4階がセレクトショップ・ギャラリー、3階がローカル食堂、2階が本屋になっています。セレクトショップではソフトクリームや飲み物が販売されているほか、坂本鶏卵の卵を使った総菜や、児島の青いうどんやデニムグッズなど倉敷の産物を使ったお土産がたくさん並んでいました。
ショップの横にはテラスがあり、そこからも外に出て瀬戸大橋を見ることができます。ここからだとすぐ間近にあるため、橋の上を走っている車や、つり橋の細かな造形までしっかりと眺めることができます。3階のレストランでは、「下津井たこ飯と瀬戸内の刺身膳」や岡山県産の豚や鶏を使ったから揚げやとんかつなどが食べられます。
今回訪れたのは午後なので、太陽は橋の向こう側に傾いていて逆光の橋は少し暗く見えました。午前中ならもっと白さが際立った姿を見ることができるそうです。案内役の方に話を聞くと、その方は引き潮の時に九州方面と関西方面に向かって潮が流れていくさまが美しいので、それもぜひ見に来てほしいと教えてくれました。
また鷲羽山は「日本の夕陽百選」に選ばれた屈指の夕景スポットでもあります。夕暮れ時には橋がシルエットとなり、幻想的な風景がみられるそうです。

レストハウスから約10分ほど坂道を歩いた場所には「鍾秀峰(山頂展望台)」があります。ここは少し急な岩場になっており、道を探しながらよじ登って進むことになりました。山頂に立つと、360度のパノラマを楽しむことができます。瀬戸内海はもちろん、近くにある鷲羽山ハイランドや、遠く四国山地まで見渡すことができました。

山頂部は数人でいっぱいになるほどの狭い場所ですが、中央には円形のガイドがあり、その方向に何がみえるのかを確かめることができます。

今回は時間の都合で行くことができませんでしたが、レストハウスから約20分ほど歩いた場所には、瀬戸大橋を上から見下ろせる「東屋展望台」もあります。途中には鷲羽山古墳群もあり、ここからも瀬戸内海の絶景が楽しめます。点在する展望台や絶景ポイントから、様々な角度で雄大な瀬戸大橋を楽しみつつ、周囲を包む鳥の鳴き声や木漏れ日に癒されながらリフレッシュできます。
| スポット名 | 鷲羽山展望台 |
| 住所 | 〒711-0925 岡山県倉敷市下津井田之浦 |
| 駐車場 | あり。普通車366台(うち障がい者専用駐車場4台)、大型車45台。無料 |
| アクセス | 【車】 瀬戸中央自動車道・児島ICから約5〜10分 【公共交通機関】 JR児島駅から下津井循環線バスで約30分、「鷲羽山第二展望台」下車、徒歩約5分 |
来てよかった、予想以上の絶景に感動!
天気が良かったこともあり、どちらの展望台も多くの人で賑わっていました。そしてすれ違う人からは「来てよかった」、「予想以上だわ」という声が漏れ聞こえてきました。写真で見ても美しい風景ですが、潮風を感じながら眼前に広がるパノラマを実際に見ると感動もひとしおです。
瀬戸大橋は実際に渡って、その巨大さを目の当たりにするのも楽しい思い出になりますが、こうして展望台から眺めると、自然の中にこの巨大な建造物を作った人たちの偉業や想いをまた違った形で味わうことができます。

瀬戸大橋が作られることになったきっかけの1つに、1955年に発生した紫雲丸事故があります。この事故は濃霧の中、2隻の連絡船、紫雲丸と第三宇高丸が衝突し、修学旅行中の小・中学生100名を含む死者・行方不明者168名を出した、国鉄戦後五大事故の1つです。この事故から安全に瀬戸内海を渡るための橋を作ろうという機運が高まり、瀬戸大橋が計画されました。1978年に着工、約9年6カ月の難工事を経て1988年4月10日に全線が開通しました。
現在、本州と四国を結ぶ本四連絡橋には、児島・坂出ルートの瀬戸大橋、神戸・鳴門ルート、西瀬戸自動車道(しまなみ海道)の3ルートがありますが、電車で渡ることができるのは瀬戸大橋だけです。瀬戸内海を横切る電車の車窓からみる風景は、ここでしか味わうことができない贅沢です。
今回紹介した他にも、下津井港から見上げる風景や、鷲羽山ハイランド側からの風景など瀬戸大橋を楽しめるポイントは数多くあります。岡山を訪れたら、ぜひこの巨大な橋を作った人たちの思いとともに、絶景を楽しんでください。

展望スポット比較
| 項目 | 王子が岳 | 鷲羽山展望台 |
|---|---|---|
| 主な魅力 | 奇岩・巨岩とパラグライダー | 迫力の瀬戸大橋と夕景 |
| 歩く距離 | 駐車場からニコニコ岩まで10〜15分 | 第2展望台まではすぐ(徒歩数分) |
| バリアフリー | 坂や岩場が多く、少し大変 | レストハウス周辺は整備されている |
| おすすめ層 | 探検気分を味わいたい、アクティブ派 | 気軽に絶景を見たい、家族連れ |





